山越 礼士さん 【フルーツビールの店 gohoubi】
長野県出身、東京在住だった山越さんが、いわきにIターンした理由とは – 2013/3/4

~「いわき」との出会い~
震災前は、東京でイベントの企画・制作の仕事をしていました。
僕自身は長野県出身で、もともと福島やいわきとは何の縁もなかったんです。
震災が起きた年の6月、宮城県石巻市で初めてボランティアに参加しました。震災と津波の痕跡を目の当たりにして、ものすごく大きなショックを受けて・・・それ以来、自分も東北のために何かできないかと漠然と考えるようになりました。
その後、仕事で付き合いがあった知人から誘われ、いわきへ足を運ぶようになりました。
彼はこれから出来る復興飲食店街でお店を開こうとしていたんです。なるべくお金をかけず、自分たちで内装工事もやって。
復興の力になれるならと、当時フリーランスで独身だった僕は毎日のように寝泊まりしながら工事を手伝いました。
飲食店は法律や自治体の条例など様々な条件をクリアしないといけないので、必死に勉強しながら。
築40年以上の古いスナックは5坪ほどの1階・2階が別店舗でしたが、階段の壁を撤去して上下をつなげることにより、2フロアで1つのお店にしました。
~「店長をやってみないか」~
こうして、ようやく店舗が完成したのは2011年の年末。
今思えば、何の知識もないのによくここまでやったと思いますよ(笑)。
知人でこのお店のオーナーが東京に戻ることになった時、ずっとここで働く店長をどうしようって話になって。それで、僕が残ることになったんです。
工事を手伝っている頃から、いわきの人達のあたたかさに触れたり、いわきの良いところを知るうちに、いつのまにか大好きになっていたんですね。
知り合いが全くいない土地だし、飲食業の経験もなかったので不安はありましたが、チャレンジしてみようと思いました。夜明け市場にはいろんなお店が集まっているので、自分一人じゃないのが心強かったです。仕入先などは他のお店の店長さんから教えてもらいました。
~生産者を応援したい~
福島は、他の被災地と違って原発事故による影響があって農産物が売れません。ここに住む人達でさえ、小さなお子さんがいる家庭では地元産食材の購入を避ける動きがあります。僕は自分にできることとして、しっかりと検査・情報公開をしている農産物を使って、少しでも生産者の支援ができないかと考えました。
そこで、いわきの特産品である「サンシャイントマト」に着目し、『トマト餃子』を開発したんです。何度か改良を重ねて、最終的にはチーズやオリーブオイルを使ったイタリアンな餃子に仕上がりました。
トマトの生産者ともつながりができ、収穫イベントに呼んでいただくようになりました。そこでは、お客さんにトマト餃子を提供するなど、様々な交流を深めています。風評被害に負けない地産地消の動きに、自分が一役担えることができて嬉しいです。
~これからのこと~
お客様には様々な方がいます。いわきで被災した方も、原発事故の警戒区域から避難されている方も、復旧工事のために県外から来て滞在している人も。そこで、いらしてくださった方が、少しでもくつろげる雰囲気作りを心がけています。お客様の中には「つながり」を求めて来店される方も多く、お客様同士が趣味や会話でつながり仲良くなっていく姿を見ると嬉しくなりますね。
今はまだ、お店を続けることで精一杯ですが、これからも、お客様同士のコミュニケーションの場として、あり続けたいと思います。
山越 礼士(やまこし れいじ)
1974年、長野県生まれ。大学進学を機に上京し、会社員を経てフリーランスになり、イベントの企画・制作をおこなっている時、東日本大震災が発生。知人の縁があっていわきへ移住し、現在は夜明け市場で【フルーツビールの店 gohoubi】店長を務める。趣味はスノーボード。好きなお酒はビール。夜明け市場イチの長身で、身長は186cm。
フルーツビールの店 gohoubi
TEL:0246-38-7438
[営]18:00~24:00 [休]木曜 1階/2階 全25席
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